大学の講義で現在江戸時代の文化を学んでいるのだが、そこで文楽を観てこいという課題が出た。現代演劇や商業演劇には足繁く通うが、伝統文化は修学旅行以外で観たことがほとんどない。せっかくの機会だし、物心ついてから初めて観た伝統演劇(文楽)に抱いた感想をここに書き留めておこうと思う。個人的には1週間前まで松ステが上演されていた1010にまた行けたのが嬉しかった。草地ジャスティスと三井一松最高だった。
「令和5年12月文楽鑑賞教室」
観劇日 2023年12月6日(水)
@シアター1010
(予定上演時間 1時間半)
開演 11:00
終演 12:45
そもそも文楽とは?という初歩的な場所でつまづいていたので、ついていけるか不安な部分はあったが、さすがは鑑賞教室、一から丁寧にかいつまんで説明してくれたので理解することができた。
文楽の正式名称は「人形浄瑠璃文楽」(浄瑠璃は音楽のジャンル)というらしい。人形浄瑠璃=義太夫節というイメージが主流ということ)。勝手なイメージ、文楽と聞くとどのジャンルを示しているかややこしいけど、浄瑠璃と聞くと教科書で出てくることもあって馴染みが湧く。また、「子どもではなく、大人向けの演劇。でもそんな難しく捉えなくていい」と言っていた。古くから伝わる演劇ということもあり、観るまでは敷居が高いというイメージがあったが、いざ生で観てみると、さほど難しいと感じることもなかった。それは、学校とかで見せられる映像だと立体感がないからしょぼくてこまごましているように感じるけど、生で観てみると人工で動してる人形に関心が湧くし人形の周りの環境(大道具や語り手)も凝っていて面白いため、映像のときほど違和感を抱かなかった。演劇はやはりなまものだよ、絶対に劇場で鑑賞した方がいい。
以下、思ったことを羅列してみた ↓
・情(愛情・友情・人情)を音にのせて伝える (ex. 情が深い時:高音が伸びたり、語尾が長くなったり)
→ミュージカルと似てる。日本におけるミュージカル文化の基盤がここにあるのかもしれない
文楽が理解しにくいと思われる理由
①言葉が古い。なじみ深くない
②テンポ感が遅すぎてついてけない
テンポ感
・現代をせわしなく生きる私たちにとって文楽のテンポ感はかなり遅め。逆手に取れば、日常を忘れてゆっくりした時間を過ごし、心を落ち着かせることができる
・遅すぎて待てないので、思わず舞台中央上にあるモニターに表示されてる台詞を見ちゃう(無料でもらえたプログラムに戯曲は書いているんだけど、舞台を並行して観たいので、ここにモニターがあるのはチラ見しながら観られるのでありがたい)
・テンポが遅いから長く感じるけど、実際はそんな長い内容を語っているわけではない。そう考えると現代の演劇って数時間の間に内容をぎしぎし詰めてくよね(ある意味効率はいいのかもしれないけど)
・文によってテンポ感が全然違う。プログラム内の台本を横目に観劇してみると、一文5秒で読む箇所もあれば30秒かかる箇所もある。文楽とは、テンポ感を大切にする演劇ジャンル、テンポ感で演じる演劇ジャンル。
人形
・首や足の動きが繊細
・2,3人で一人を演じているのが、みんなで作ってる感があって良い
・服の質感は分厚い
・足音のドタバタ感は人形を操っている数人が実際に地団駄を踏んで音を出している
・人形の後ろで次の場面に向けて、さささーと動く黒子さんもいる
語り手の声の使い分け
・裏声は裏声でも、裏声の中でさらに高さを変えることで演じ分けている。すごい。語り手の腕の見せ所。
演出
・雪吹雪(紙吹雪みたいなもの)が何回か上から落ちてきた
・時折ナレーションを挟むので、どこが誰の台詞か判断できない時も
・歌い手と三味線の方の登場の仕方。作品の途中で変わる時は、忍者屋敷の壁みたいに、壁が回って違う語り手と三味線が出てくる
その他
・遠くから見ただけなので、確実かはわからないが、読み手の台本はかなり厚めで字がかなり大きい。図書館にある蔵書みたい。
・イヤホンガイドはありがたい。実際日本語がわからない外国人の方もいたし(スタッフさんに案内してもらってた)、日本人でも文楽の時代はさすがに馴染み深くないのであると作品の理解に役立つ
・演劇におけるジェンダー問題:舞台上にいるのは全員男性。現代においても商業演劇とかはそうだよね。反対に日本舞踊は女性が多いし、性別の偏りがすごい。