少年社中 25周年記念ファイナル 第42回公演「テンペスト」
観劇日 2024年1月20日(土) 東京楽前日
(予定公演時間 2時間10分)
本編・カテコ 17:30~〜19:53
本編
物語
暗転する前に萩ちゃん演じるゲキが舞台上0番に登場。だんだん客席の照明が落ちると、彼は上手に体操座りで座り、ダンケンともう一人による前説で始まる。
ダンケン、鐘をつく
「まさか鐘をつくなんてことは言わないよな」
「意表をつかれました」
上手い。
日替わりゲスト
けんてぃー、手押し相撲を拡樹くんにしかける(最近けんてぃージムに通い始めたから自信があったのかな)。しかし負けてしまったけんてぃー。
小野「俺は世界で一番弱いんだ。だからお前は世界で2番目に弱い」
は???って雰囲気が舞台にも客席にも流れたままはける。
カーテンコール
・1回目
下手から順に、小野・萩谷・礼生・拡樹
社中とゲストの俳優さんがそれぞれ別々で登場し挨拶、その後交互に挟まって一列になる。
・2回目
井俣さん「みなさんが人生を歩むように、私達は芝居を上演し続けます。僕たちはいつでも劇場にいます」
演出
・開演10分前にスモーク
・急にポップな音楽が流れたりする
・劇団ならではの照明の使い方が綺麗。箱の中だけとか船の上だけとか。
・劇団軸の際、ビデオテープを巻き戻す音と客席に照らされた照明で現実と過去を行き来する。観客に照明が当たり目がくらんだ隙にその場にいる人物が入れ替わったり。まあまあ短時間で変わってるのすごい。
その他
・終演後、太良さんが物販長を務めるべく、ロビーに降臨
感想
社中さん。数年前の配信(モマ)を観たことはあったけど、生のお芝居に触れるのは今回が初めてだった。アツさをアツさでぶつけてくる劇団だと思った。お芝居もアドリブも日替わりも勢いも台詞回し何もかもが全力。観ているこちらの心にまで火がつけられる。
そしてワードチョイス、言葉の組み方を含むプロットがとても好きだった。最初はテンペストの物語と虎煌遊戯(劇団)の歩み(過去を含む)がそれぞれで描かれていたが、テンペストの大事なシーンで、ギンに「劇団に戻ってこいよ」という盛り上がりどころが被り、2つの軸は最終的に重なる。物語がとても綺麗にまとまっていて感動した。スッキリ。かつて自分の思うがままに、役者を支配してしまったギンの罪を、15年の時を経て当時の劇団員が、今の劇団員が(ひなたなど)許すこと。「自分は操り人形だったのだ」という言葉をきっかけに優しいゲキは劇団を思って悩み、この世を去った(バイク事故ではあったが思い詰めていたが故に起きてしまった部分はあるだろうと解釈している)。ギンはその罪も償わねばならない。確かなことは、ギンもゲキも今を生きる役者もみな「芝居で人を幸せにしたい」という思いが一緒だということだ。
年の瀬から年始にかけて、ラフでわちゃわちゃした系統の作品ばかりを見ていたので(るひま、2.5等)、久しぶりにストレートプレイを見て、俳優のファンではなく演劇のオタクとして心が動かされた。演劇の在る意味とは何だろうと。
テンペストと題しておいて、実際はテンペストを上演する劇団の群像劇が描かれているのが面白い。そのままテンペストって名前つけたの強いな。シェイクスピアと聞くと「難しそう」と感じてしまうが、冒頭にテンペストのあらすじを説明してくれる時間があるので予習なしでもいけた。楽しいというよりは面白い作品。
劇団だからこそできるお芝居も享受できて良かった。2.5とは違い原作がないのでとりあえず自由。客席でわりと速いスピードでスタスタ歩くし、わりとがちめな力で勝吾くん(役名が思い出せない)がギンのことを押すし、ところどころ細かいネタを挟んでくる。
余談
先週ひたすらテニミュの現場に入っていてまだ余韻が抜けていないままサンシャイン劇場に入る。開演4分前までテニミュのレポをXで漁っていて、「あーテニミュ厨だわ」と思っていたけど、前に座っていた方のトートにまぴリョと小野カズヤのブロマイドがぶら下げられていて「ああ同士がいる。忘れなくたって良いんだよな」って思えた。何も新しい作品に出会うからといって心にある作品を忘れる必要などないのだ。目の前に広げられた世界を楽しみ、余韻に浸り、数日数週間数ヶ月経っても色鮮やかに残っているってすごいことじゃない?
出演者の印象
井俣太良さん
初見:ツイッター…?
終演後物販やってる時、たいらさんお客さんが「〇〇がすごい良くて〜」って話に「あほんとですかぁ」って心で受け止めててすごい良い人だなって思った。これから観る機会あったら肩入れしちゃう
鈴木拡樹くん
初見:しにつか
ラン。エアリアル。さすがの貫禄。拡樹くんのテンポ感、声の抑揚、重心低めな身体の使い方(刀ステに限るけど)がとても好き。
本田礼生くん
初見:蒼木陣くんの幼馴染
たしか2022年の演ドラぶりな礼生くん(そんな前だっけ)。持前の運動神経を駆使して、きれいにコロコロ転がって立ち上がったり転んだり。役的にかわいい後輩ポジっていうのもあったけど、なんせ綺麗にダイナミックに逐一動くもんだから、礼生くんが出てきただけで笑みがこぼれる客席。ランとゲキの絡み?(とりあえず誰かと誰かが真剣な表情で絡んでた)の時、上手からこそこそ登場してきて忍者の如くさっと近づいて、バレないように壁と同一化したり床に這ったりしててシュールすぎた。カグラ(矢崎さん)とシュン(勝吾くん)のことはめちゃくちゃ尊敬してぺこぺこしてるんだけど、なたぎさん演じる役だったかな(記憶が定かでなくて申し訳ない)に対しては冷たくあしらって、触られれるとサッサと払ったりするのもシュール芸。「ごみくそうんち!」って叫んでたのツボ。
礼生くん運動神経並じゃないから2.5でもすごい活躍できると思うんだけど、お芝居的にはストプレが合う。アドリブ得意だし、今回もヒナタの抜け感ぽわぽわ感がいい味を出してたし、テンポ感や真剣な眼差し、お芝居に対する姿勢はストプレ寄りだなと思った。
萩谷慧悟くん
ライブを除いて、永魚ぶりの萩ちゃんのお芝居。この一年で小劇場や劇団系の作品に出演することが多くなって、完全にストプレの俳優になった。でも彼は些細な表情や繊細な表現が上手なのでそっちの方が向いているのかな。帝劇に立っていた前世も華やかで美しかったけど、今好きなものを極め表現技法に磨きがかかっている彼もとても素敵。今回は物語において崇拝されるような役どころを演じた。ニコニコ天使。目立たないところでも表情や背中で語るシーンが多くて、数か月ぶりだけどまたひとつ大きくなったなぁって思った。拡樹くんとの掛け合いも良かったよ。
そしてダンスナンバーが結構ある。あの礼生くんと2人で踊るところもあって、ハイクオリティーすぎた。いつの間にやらダンスも上手くなっている。今回のテンペストで初めて萩ちゃんを拝見した方のツイートやレポを見ていると、ダンスが上手かったとか7ORDERのメンバーだと聞いて納得とかといった、ダンスに関するつぶやきが多くてなんだか嬉しい。
鈴木勝吾くん
初見:ディスグーニー
萩ちゃんの兄貴分。ディスグーニー、モリミュ等西田さんの作品外で勝吾くんのお芝居を観るのは初めてかもしれない。勝吾くんといえば西田さん、みたいな等式が自分の中に勝手にある。彼のお芝居もまたストプレ寄りだよね。こう見ると、今回のゲストのキャスティングはストプレに強い俳優さんをもってきた傾向にある。
矢崎広さん
初見:よるステ
唯一まっすぐにテンペストを上演しようとした役。去年の8月に長妻怜央くんと朗読劇で共演していた記憶も新しい。初めて矢崎さんのお芝居を拝見したけど、年齢に見合った貫禄を出しつつもまっすぐで素敵な役者さんだなと感じた。よるステちゃんと聞こう。
【よるステ 矢崎広さん 2023.8.23】
— ゑっぐタルト (@egg____tart) 2023年8月28日
四つの署名(朗読劇)エピソード
「あ長妻くんの時はね、長妻くんがすごい長いくだりを考えてきていて『矢崎さん!これやりたいんですけどいいですか』っていう相談をしてくれたから『あいいよ!』って『やろう!長妻くんが考えたならばっちりだよ!』って
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小野健斗くん
初見:松ステ
色んな作品で拝見してるけど、実は今回が初生けんてぃーだったかもしれない。それなのにマブ感があるのは新テニの影響ですね。つい最近までサーステがやっていたので、その印象が強すぎる。サーステが(特に客降りが)動物園すぎてこの上ないハイ空間だったレポを未だに見る。4th関立が始まってなおさらサーステのイレギュラー感が強まったのかな。彼は1stの柳蓮二だし、なんかいろいろご縁すぎて。新テニ柳役梶田くんとのツーショはエモすぎるぜよ(cv 仁王)。
今回、衣装のボトムスが風船みたいでふくらはぎまで白い靴下だったんだけど、脚細すぎてマネキンかと思った。オタクが一斉にオペラグラスを構えたので「なんか出てくるのかな?」って思ったらけんてぃーだった。