ここなっつぴぃす

紡いだ夢の先へ

音楽劇「まほろばかなた」観劇記録

 

音楽劇「まほろばかなた」11月6日大千秋楽公演を観劇してきました。

 

音楽劇「まほろばかなた」

@天王洲銀河劇場

 

(予定上演時間 3時間5分)

開場 13:00

1幕 14:00〜15:18

休憩15分

2幕 15:33〜

終演 17:14

 

 

 

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①あらすじ

【1幕】

おもしろき こともなき世を おもしろく

 

声が大きくて男まさりなお雅。そんな彼女に晋作との縁談話が持ち上がる。しかし、お雅は文やすみ子にたしなめられようが嫁ぐつもりはないと一点張り。

 

そんなある日、お雅は三味線をのんきに弾いている男と出会う。「まさかあんたが晋作ってやつじゃないわよね?」と男に確認し、男も「違うよ」と流しているが…そう彼こそが長州藩の若悪童・高杉晋作だったのだ。「長州藩にはまともなやつがいない」と嘆くお雅だったが、これまで一度たりとも褒めてもらえなかった声を「大きな声だ。新しい場所がよく似合う」と彼に言われ、戸惑うお雅。

 

すると、晋作のもとに焦った様子の藩士たちがやってきた。港に軍艦が2隻もやってきてるという。しかし、晋作は「大丈夫なんとかなるさ」とかなり余裕な様子。そこで桂が「まさか…喧嘩を売ったんじゃないだろうな」と何度か尋ねたところ、晋作はこう答えた。

 

「かったさ」

 

一瞬の沈黙の後「かったってどういうことだよ!?」と慌てふためく一同だったが、その”かった”とは、“喧嘩”を買ったのではなくて“軍艦“を買ったと言うのだ。それはそれで焦るのも当然…藩は財政難。そんな経済状態を無視して晋作は2万両(現在でいう44億円)で軍艦2隻を購入したのである。しかも支出もとを藩にしておいて。幕府にまた目をつけられてしまう...と思ったところに、幕府の犬・勝海舟が登場。勝に購入した目的は何だ、と聞かれた晋作は率直に「倒幕!」。桂は「晋作ぅぅぅぅーーーーー!!!!!」と激怒するが、晋作は倒幕にこれらの軍艦を使用するつもりはなかった。本来の目的は…

 

晋作「あなた(勝)に会えると思ったんです」

 

勝は長州藩の敵でもあるが、同時に藩のトップ・松陰先生と同じ象山の塾で学んでいた同志でもあったのだ。勝と国を変えることを切望していた松陰は、宴の場を作ってくれた晋作に「ありがとう」と述べた。

 

松陰「男に二言はない。最後にの酒を飲もうじゃないか。今夜は宴だ!」

 

(この後、軍艦はどうするのかという話になった際、バカにされながらも春輔が外国人と交渉してなんとかOKに。さらに幕府の遣いが狂介に斬られた事も発覚するのだが、それは凄腕の医師・蔵六が以前より元気な状態に治してくれたので結果オーライで無事に収まる)

 

こうして勝をなだめて事は収束したかと思った…ところに、宴の途中に桂が青ざめた表情でやってくる。

 

桂「…晋作には絶対に言うな…。松陰先生が…監獄された。おそらく処刑されるだろう…」

 

その話をどこからか聞いた晋作は「戦ってのはな1人でいくもんだ」と言い残して松陰のもとへ向かう。その後を追いかける藩士たち。

狂介「斬っていいのか?」
桂「おう存分に斬れ!晋作に道を開けるんだ!!!」

 

松陰のもとへ無事にたどり着いた晋作は、文への遺言を聞いて使命を果たしたが、松陰は安政の大獄で処刑されてしまう。

 

晋作「(松蔭先生は)春風のような人でした」

 

落ち込んでいると思われた松陰の妹・文は、「凛と生きます!」と前を見つめていた。

 

しかし、この直後晋作がひどい咳払いをして倒れてしまう。

お雅「まだくじを引いてないって言うのに!」

 

【2幕】

 

松陰の死から4年後ー1863年ー、長州藩の男たちは“まほろば”を目指すべく、それぞれが自分の責務を全うしていた。

 

勝「…月日は人を変えるものだな」

 

晋作は上海に旅していたり(国内にいて喧嘩しないようにという桂の腹積もり)、蔵六は医者だけでなく学者として活動するようになったり、春輔はエゲレス(英国)に学びに行ったり…

狂介も、「俺バカだから。春輔とかに助けを求められた際いつでも役立てるように」と文字を習い始める。「バカなところがお前の魅力なんじゃないか」と蔵六はたしなめるが、狂介は懸命に勉学に励む。

 

各々忙しくしていた彼らだったが、春輔が帰国した際などにはみんなで集まって宴を開いていた。自身の不倫によってすみ子と離婚したことをいじられ拗ねる春輔だったり、「元気だったかー!?」と声を掛け合う若き藩士の姿は、離れていてもどこかで繋がっている彼らの関係性をよく表していた。「晋作が眠っている間は長州藩も眠っている」と言われるほど藩には平和な時間が流れていた。

 

しかし…「親しい者だけを連れて京の町を去れ」と突如幾松に言う桂。松陰の死後、長州の頭として藩を統括してきた彼は抱えきれなくなった責任から、京都を焼き討ちにした。その結果、彼は牢獄に入れられてしまう。

 

その状況を知って桂に会いに行く晋作。そこで彼は奇兵隊を結成した。

 

晋作「蔵六が言うには、この世には“平等”って言葉があるんだってさ。男も女も、身分も関係ないってことだよ。男だって家を守れば良い、女だって戦いたければ戦えば良い。戦いたい者が集まった、そんな兵を作りたい」

 

まほろばは彼方にあるんじゃない。今この場所だ」

 

目論んだのは、桂をトップにして第2次長州征討に立ち向かうこと。相手の兵は15万、対して長州藩はどんなに兵をかき集めても4000といったところだ。徹底抗戦か降伏かーー桂は「負けが見えている戦に出ることは反対だ…しかし、それはあくまで俺の考えだ。あとはお前(晋作)に託す。好きなようにしろ」と言われ、くじで決めることに。結果は5人とも(晋作の分はお雅が引く)「徹底抗戦」彼らは分担割りをしてそれぞれの地に向かった(と言ってもこのくじは全部徹底抗戦しか含まれていなかった晋作によるインチキだったのである)

春輔「俺は…!?」

晋作「お前には国を託すよ。お前が新しい国を作るんだ」

 

春輔「俺国を率いるよ。恥じない国を作る自信あるんだ」

 

病が進行して、立っていることがやっとのほどである晋作。それでもお雅は彼を止めなかった。「だって彼が(病気のことを)何も言わないんだもの。言えるはずがないじゃない」と。

 

晋作「お前と出会えて俺も当たりだ」

 

「負けないでーーーーーー!!!!!」と叫ぶ妻の頭を晋作は両手で包んで「大きな声だ」と微笑み戦地へと向かった。「…嫁ぐってのは案外いいもんだねぇ…」とお雅は泣いていた。

 

桂「俺たちは晋作がもう長くはないことを知っていた」
蔵六「誰も疑っていなかった。こいつとまほろばを目指すことを」

 

同じ頃春輔は、再びかつての愛妻・すみ子に惚れ直していた。

春輔「この戦が終わったら俺と…!」

すみ子「お断りします」

春輔「死んでもいいやーーーー!」

 

そして桂は責任を取って自害しようとする…が刃を首に当てたところに幾松が現れる。

幾松「何してるんだ!?」

桂「俺が久坂も吉田も無駄死にさせたんだ…!」

幾松「今のあんたが責任を取って死んだところで、事態は何も変わらないよ!!じゃあ私がみっともなく死なせてやろうか!?」

と言いながらも、「私があんたが生きていたことを証明するから!」と言ってくれたことで、桂の中で何かが吹っ切れた。

 

桂「もしまほろばの先にお前がいたらどうする?俺はまほろばの先でお前を迎える」

 

海上では晋作が勝率いる幕府軍と対峙していた。「お前ももうここまでだな。どうせ死ぬなら俺がかっこよく死なせてやる」と言ってピストルを撃つが、同時に彼はひどく咳き込んで倒れる。その直後に勝がこう言った。

 

「…幕府から撤退命令が出た。お前らの勝ちだ」

 

彼はまほろばにたどり着いた。そして幸せそうに満足そうに空を見上げて、おうのの腕の中で永遠の眠りにつく。

「苦しいって言葉だけはよそうぜ。せめて俺とお前だけは笑っていよう」

まほろばは見えたのか!?」

おうの「ええ」

「ヒントは!?」

 

おもしろき こともなき世を おもしろく 

住みなすものは 心なりけり

 

②考察

まほろばの正体とは

 

作品名にも含まれる「まほろば」。言葉自体は「素晴らしいところ」という意味だが、劇中では複数の定義が出てきた。目指す場所、夜明け、この場所、今見えるこの景色…しかしどれも曖昧でいまいちピンとこない。

 

そこで私はまほろばを「夢」だと捉えることにした。一人一人好きなことややりたいことが違うように、夢も一人一人異なる。その数だってそれぞれ違う。彼らは激震的な時代の中で、自分の目標を見つけそれに向かって走り続けた。まほろばは無限だーー「志して会えるならもうあいつらはいる」と勝さんが言うように。

 

しかし、まほろばは達成すれば終わりなのではない。あくまで通過点に過ぎず、永遠に答えのない問いだからこそ達成したか否かさえわからないけど、それを目指す過程が素敵だなと思った。

 

まほろばといえばもう一つ。冒頭の劇中歌に「(晋作)どうかな一度一緒に歩いてみないか 君の名前は太陽と同じだから」という歌詞がある。私はここにおける「君」とはまほろばを指しているのなぁと考えている。「まほろば」も「太陽」も周りを照らし手の届かない抽象的な存在。そんなまほろばに「一度一緒に歩いてみないか」と語りかける行為は、神頼みだけど手を伸ばそうとする晋作の強い気持ちが表れている。「お雅」だと捉えることもできるけど、冒頭でまだ早い気がするのでこの解釈は難しい。

 

最期の大喧嘩~第2次長州征討へ~

 

歴史モノだから死は避けて通れないとしても、やはり最期が見えてしまう物語は辛い。今回は思っていたよりはそういうシーンはなかったが、元気で明るくはつらつとしていた晋作が船上で亡くなってしまう場面は苦しかった。だから、考えれば考えるほど第2次長州征討が始まる際の「晋作の最期の大喧嘩の開幕だ」という蔵六のセリフが儚すぎて。くじで徹底抗戦が決まって藩士たちが「行くぞー!」って拳を上げた時と、晋作が春輔に未来を託したシーンは号泣した。

 

とは言いつつも、全部が全部真面目な話で構成されているわけではない。西田イズムが多量に含まれているので、アドリブも多かった(のでもちろん公演時間は延びる)。勝さんなんてアドリブに走りすぎたシーンで「よし!!!戻すぞ!!!」って言ってた。DisGOOnieの洋二郎さんポジ。

 

作品の中で一番笑ったのは、狂介が文字を習い始めた時の蔵六とのやり取り。「シ」と「ツ」の斜め棒の違いがわからない狂介。

狂介「じゃあ点をなくせばいいんだ!」

蔵六「それはノだ」

狂介「ああーーーわかんねぇ!、どうやって見分けるんだよ!?」

蔵六「「じゃあやめればいい。お前はバカなところが魅力なんじゃないか」

狂介「でも春輔とかに助け求められた時、いつでも役に立てるように」

「気合」などと書いてあるハチマキを何枚も重ねてやる気満々な狂介。

 

オテテをオチチって書いたり。

蔵六「それはエロい」

狂介「それはわざと!」

 

狂介に顔を近付けられて(額間の距離ほぼ皆無)

蔵六「近い!!ほのかにミントの香りがする!」

 

高杉晋作

軍艦や戦を“男のロマン”と称し、自由気ままにやりたいことをやってる。ように見えるけど、実は先を見据えて行動できる、頭のキレる有力藩士。肺結核により27歳という若さで夭逝してしまうが、短い生涯の中で色々なことを成し遂げた偉人。結核って昭和初期までは不治の病として知られていたらしく……終わりが見えていても力強く生き続けた晋作に感動した。「戦ってのはな勝ちが見えてちゃつまらねぇんだ」はかっこよかったな…男の中の男だった。熱い。

 

大村蔵六

後の大村益次郎(2幕の進行最中に「蔵六」と呼ばれた際には「蔵六じゃない、益次郎に改名したんだ」と言っている)。冒頭では、幕府軍の遣いを斬った勲章としてできた狂介の両膝の傷を治してあげてた(狂介が桂とのやり取りで暴れた際には黙ってついていき、押し倒して治療したり)。薬箱片手で敵陣を倒してく蔵六がスマートでかっこよすぎる(そもそも歴史モノなのにそこまで走らない蔵六)。個人的には春輔との絡みが好きだった。松陰と勝の話を盗み聞きしようとして障子に穴を開けて覗く狂介と春輔の頭を叩いたり(落ち着きのない狂介にツッコむ蔵六…良いコンビ)作品では他の藩士と比べて他者との関係性があまりクローズアップされてなかったため、いまいち人となりを掴みにくい…が、彼は彼で色々ありそう。蔵六主人公のサイドストーリー作ってほしい。

 

ちなみに蔵六の死後、彼の軍事構想は狂介が引き継ぐんですよ……たくさん面倒みてもらってたからね、しっかり狂介は恩返ししてるの……(涙腺崩壊)

 

山縣狂介

後の山縣有朋。さらしの柄は戦でつけた血飛沫をイメージしているのかなぁ。ケンカっ早くて大雑把で、本人も「俺頭無いからわぁらないけどよぉ!」って卑下してるけど、実は真っ直ぐで夢への努力を惜しまない人。習った字で密かに惚れていた文へ手紙を書く。文に「その手紙誰に?」と聞かれると、照れたのか「お前じゃねぇよ」とその場に手紙を投げるが、後に彼女が「あれ私宛だったのね…嬉しいわありがとう」と言うシーンがある(届いて良かったな、狂介)。

 

この時代から50年後、まさか長州藩が国を動かしているとは誰が想像しただろうね…藩閥政治で政治を私物化とか色々言われたけど、狂介は暗殺された春輔の分まで国を背負ったんだよ…なんだこの泣ける話……

 

伊藤春輔

後の伊藤博文。すみちゃんが本当に大好きで、色んな女性に惚れても最終的に彼女のところに戻ってくる。お雅にコーヒー(イギリスのお土産)など渡して猛アピールするもフラれた際には、すみ子に駆け寄って膝枕してもらってた。

すみ子「(春輔は)惚れやすいけどすぐフラれるの」

離婚後、下関で芸妓を選べと晋作に促され、「俺はもう遊ばないの!初心に帰るって決めたの!」(必死)

軍艦に関して外国人と交渉する時など、異国人に嘲笑されていたがなんだかんだ仲良くなったり、常にとりまきがいたりなど周囲に愛される存在+しょっちゅう話を遮られたり4人がかりで袖に運ばれるなどイジられやすい一面もある(最年少だからかな)。戦う時、一人だけピストル併用してたのさすが世界の伊藤さん。

誰かが「案外これからの時代を担うのはお前(春輔)みたいなやつなのかもしれないな」と言っていて…私たちは伊藤博文の偉業を知ってるから胸にくるものがある。

 

桂小五郎

後の木戸孝允。松陰亡き後は、長州藩を総括するようになるが…藩士の犯した罪は自分が監督不足だったからだと、真面目なあまり彼は自分を責めすぎた。みんなのことを大事に思ってやりたいことを自由にやらせているくせに、そこで発生した悪い出来事は全部請け負ってしまう。一人で抱え込まないでよ。周囲を頼っていたのかもしれないけど、というより特に戦の面においては晋作を頼りにしていたけど、そうじゃなくて常日頃から些細な出来事を心配事をもっと周りに漏らして欲しかった。そうすれば自害するまで追い詰められることは防げたのかもしれないし。彼の中で糸が切れたんだろうね、あそこで幾松が見つけてくれなければ彼は死んでたし長州藩も潰されていたと思う。どうかまほろばの先で、幾松と結ばれる日が来ますように。

 

個人的に、そんな彼の荷が少し降りるのは狂介の面倒を見ているときかなと思ってる。長州藩の保護者的存在だけど、特にケンカっ早い晋作や狂介に対しては手をかけてる。

狂介「かつらーー!!!」
桂「カツラじゃねぇよカ(↑)ツラだよ!どうみたってふさふさだろぉぉ!!」

このやり取り本当に好き。

 

勝海舟

幕府に支えている身だから、上の言いなりに従うしかないけど、実は長州藩の肩を持っていた面もあったような気がする。春輔からイギリス土産でもらったピストルをありがたく頂戴するも、「俺には使いこなせねぇな」って言ってたり、松陰とバカ笑いしながら杯を交わしていたり。

 

吉田松陰

藩士から慕われている長州藩のトップ。人生のテンポ感が晋作と近い。1幕終盤で処刑されてしまうけど、2幕で晋作が弱っているときに話しかける。最初はこのシーンに意味を感じていなかったけど、よくよく考えてみると松陰と話して、この世こそがまほろばだとわかったから晋作は振り切れたのかなと思う。松陰はいつまでも長州藩の鑑であり続けた。

 

お雅

くじの結果晋作に嫁ぐことになったが(実話らしい。晋作の袖にしまってあった彼のくじを入れたか確認するところをみるとお雅はこの時既に惚れていたのではと考えられる)、結婚してからは男勝りだった性格が落ち着く。月日を重ねるにつれ、晋作の妻でいることに生きがいを感じるようになると共に、文やすみ子と同様逞しくなる。逞しいっていうのは生き方ももちろんあるけど、考え方のこと。夫の病を嘆くんじゃなくて夫のまほろばを応援する姿には、晋作のことを信じて前を向いている心持ちが強く表れている。おうのにでさえ「晋作をよろしくね」とか「ありがとう」って言えるお雅は本当に強い女性だった。

 

すみ子

春輔の奥さん…だったが、彼の不倫によって2幕では離婚してしまう。きっと心の中では好きだったはずなのに、どうして振ってしまったんだろう…って考えたときに、春輔を自由にしてあげたかったからなのかなぁって。だとしたら彼女もなんて強い女性なんだろう(西田作品の女性はみんな麗しくて強いのよ)。誰よりも春輔のことを理解していて、彼のとるであろう行動、言動は全てお見通し。「最後は人柄なのよ」と厚い信頼を寄せている。

 

お雅や幾松が強くあれたのは、文の背中を見てきたからかなと思う。彼女は兄・松陰を失った際にも前を向いて歩き続けた。そんな彼女に感化されて他の長州藩の女性も夫のまのろばを応援する。彼女がいなかったら女性たちがここまで強くいられることもなかったのかもしれない。

 

おうの

晋作の正妻はお雅なんだけど、彼の最期を看取ったのはおうの…正直ここは「なんで?」って思ってしまった。最期はお雅のもとにいて欲しかったな…。考えてみれば、「第2次長州征討が終わったら旅に出る」と最初に伝えたのもおうの、これは不倫している…?

 

幾松

下関の芸妓。会う回数を重ねるうちに小五郎と良い関係になり、重要な決断の際には彼の背中を押してくれる。史実を調べてみると、彼女は小五郎と結婚したことがわかった。小五郎さん約束を果たして迎えに行ったんだ…なんてロマンチック……

 

史実モノは特に、観劇する前にある程度予習していくんだけど、今回は幕末ということもあって、調べてるだけで涙ぐんでしまった…実は前回の学校のテスト範囲がちょうど幕末〜明治で、いやぁもっと真面目に勉強しとけばよかったなと既に後悔。それと、みんな改名しすぎて最初誰かわからなかった。しまいには「伊藤」って聞いて「かの博文…?」って思ったら本当にそうだった。

 

ざっと相関図なんかも書いてて。まほろば瓦版を知る前だったから大雑把だけど(アナログ人間なので手書き)…亡くなった年とか死因まで調べてると切なくて切なくて。なんで日本を変えようとしてくれていた偉人たちが殺されなくちゃいけないんだよ…って思ってしまう(歴史は繰り返す)。

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そして観劇した後にもう一度書いてみると全く別の相関図ができた。思っていたより松陰先生と桂の存在が大きくて。

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③カテコ

1回目

阪本 糸川 和合

阪本「3時間長いなーとか延びちゃわないかなとか(続く)」と言って遠回しに西田さんイジリ(西田さんの戯曲の長さは有名)

 

2回目

スタンディング

「とても嬉しいんですけど」連発後、「配信のカメラが見えなくなるので座ってもらってもいいですか」と申し訳なさそうに笑う奨悟くん。

 

3回目

規制退場アナウンス後、袖から「うぇーい!」って声が聞こえてくる→会場笑いながら拍手

 

④演出

西田さんの照明は儚くてカラフルな印象があったのだが、今回は儚さよりも派手さ(色合いとか動きとか)の方が目立った。特に照明の形はDisGOOnieではなかなか見られない三角や丸など色々あって面白かった。色合いが好きだったのは、1幕終わりで晋作が咳き込んで血反吐を吐くシーン。周りは白青(海)だけど晋作の周りだけ赤い照明が当てられて生々しかった。急に血吐いて倒れたもんだから、死んだのかと思ったドキドキさせられた…次が気になる、良い1幕の終わり方。

 

全体の構成はDisGOOnieとほぼ同じ(前置き→OP→1幕→2幕)。OPの曲がめちゃくちゃ良い。この歌はOPで唯一歌詞が乗るんだけど、あの力強いサウンドに歌声が入るとベクトル爆上がり。春輔とすみ子の「♪いつかーいつかー歩きたい」のユニゾンには涙を誘われる。また、ヒグラシの鳴き声が開演の合図なのはとても良かった。夏の終わりの、切ない感覚が呼び起こされる。

 

個人的に、西田作品の迫力って大道具の移動にあると思っていて。まあまあ大きいキャパの劇場だと大道具を移動する演出が多いんだけど、それが華やかで美しい。別作品ですが、大道具でおススメしたいのはMOTHER LAND。明治座の大きな板上で何メートルもある階段が彼方此方に動くのは観劇オタにはたまらない。

 

物語は、勝(2幕途中から蔵六に変わる)とおうのの進行によって進められる。過去の出来事を、真実を知る彼らと共に遡る感じ。

蔵六「ここからは俺の方が詳しいだろう」

勝「あとは頼んだよ」

 

2幕終盤で襖の下の赤緑部分が剥がれて捌けるところまで見えるようになったのにはどんな意味があるんだろう……

 

⑤劇場

入口は狭いから忙しないけど、ロビーは2,3階にもなると落ち着いていて心地良い。赤いカーペットとか座席の高級感が劇場感を醸し出している。椅子は硬め、でも背もたれは高さがあるから長時間座っていても疲れない。劇場内は木目の床に丸い造りでアットホームな雰囲気。強いて言うなら、3階は手すりと前の人の頭で舞台上が見えない。今回は肝心のセンターが遮られていたので残念だったな…でもまぁ作品が良かったので結果オーライ。

アクセスも天王洲アイル駅からすぐだし、品川駅から徒歩で30分くらいなのでまぁ良し。夜の劇場周辺はライトアップされていて本当に綺麗。隣にはセブンやカフェが隣接してあって便利だし。総括: 劇場感ある劇場で良き。

 

⑥観劇動機

なんたって西田さんの戯曲・演出。もとから歴史モノの作品が好きだけど、西田さんの描く群像劇が大好き。

 

「人間の心を描く物語を作っていくために、何か一つの大きなモチーフとなる事件を調べていくと、ものすごく面白いんです。いわゆる歴史年表だと淡々と出来事が綴られていくだけなのですが、その行間には絶対に語られていない歴史や言葉があるんじゃないかと想像します」

 

以前雑誌のインタビューで西田さんがこんなことをおっしゃっていて。これを読んで以来、この史実の裏側ではどんなことが起こっていたのかなと想像したり、西田さんだったらこの出来事をどう捉えるんだろうなって考えるのが楽しくて。ひとつの見解を知りたくて、気付いたら劇場にいた。他にも和合ちゃんや耀士郎くんがキャスティングされてたり、久しぶりに銀劇行きたいなー(実に27ぶり)って思ったのもあるんだけどね。

 

 

⑦出演者の印象

奨悟くん

初見: 刀ミュの堀川国広

まほろばの上演が発表され「和合ちゃん出てるし西田さんの作品だし銀劇だから行こ」と観劇を決めた際、「主演の阪本奨悟くん…名前は聞いたことあるな…(Yahooで検索)ああミュの堀川国広ね!写真は見たことある」って思ったのがはじまり。そしてwikiを拝見したら、経歴が豪華で思わず腰が抜けそうになった…福山さんプロデュースって何事。しかも子役の頃から活動していてなかなかのベテラン。今年のワーステ出てたんだね(だから耳馴染みあったのか)。事前にYouTubeで少し歌を聴いてみたんだけど、なんて澄んだ歌声をしている方なんだろう。生で聞いてみると、セリフも歌声もすごい聞き取りやすかったありがたい。そして奨悟くんの存在そのものが儚い…白すぎる骨格細すぎる…白の茶葉織に包まれたら消えてしまいそうだよ…夭逝する晋作はまさにハマり役だった。あと意外と身長低くてびっくりした。てっきり175くらいあるのかと(可愛い)

 

耀士郎くん

初見:刀ミュ

申し訳ない…初見を覚えていないんだけど、パライソの時は既に認知していた…と思う。とりあえず1月のヒプtrack5で安井くん顕嵐ちゃんと共演することが発表された際(2021年10月)喜んだのは記憶にある。1ヶ月前にたまたま耀士郎くんの2.5次元ナビを見て「美容師出身かーー道理でイケてるわけだわ」っていうのと、きたむーと彫りの深さが似ているなという印象を抱いた。そしてアクターズリーグinバスケでの活躍ぶり。役柄なのか本人のクセなのかはわからないけど、めちゃくちゃガニ股で歩くので男臭さを感じる。奨悟くんとはまた異なるよく通る声が舞台に合うなーと思った。やはり歌が上手い。

 

和合ちゃん

初見: 松ステ

実は今回がはじめましてわごちゃんだった。いやいやイケボすぎる。思ってたより声低いし、クールな役も相まって一番かっこよかった。静止画でももちろん綺麗だけど(特に横顔が好き)、和合ちゃんは動いて喋ってる方が絶対良い。ツイッターの140字や4枚の画像だけじゃ伝えきれない魅力いっぱいあるから。私自身が松ステやまほステの彼しか知らないからだけど、今回の座組と並ぶとこれまた大きくてびっくりする(F6はみんな180超えだし北の国には太陽くんや太郎くんがいるしね…個人的にはミチルの世話焼くフィガロ先生がめちゃくちゃ大好きなんですけど…この話は長くなりそうなのでやめておく)とりあえず最高だった蔵六。

 

廣野くん

初見: タンブリング

3月のアクステぶり。自担ってわけではないんだけど、彼の出演する作品はなぜだか観劇することが多い。今回も殺陣の中でアクロ華麗にきめててさすがだった。廣野くんといえば、今年の顕嵐ちゃんの誕生日生配信に深夜ながら出演してくれたり曲を一緒に作ってくれたり別日にはご飯食べに行ったり、はたまた6月のながつのインライでコラボしてくれたりなどなにかと7ORDERと仲良くしてくれて嬉しい。アクリ野球の節に関しては本当にお世話になりました(人見知り顕嵐ちゃんの側にずっといてくれてありがとう)。これからもご縁が続きそうな予感。

 

松田凌くん

初見: ID

廣野くんに負けないくらい、観劇する作品に出演していることが多い俳優さん。今回も漆黒天に続いてですね。まほろばで改めて感じたけど、彼は狂気的な役がよく似合う。普段は落ち着いてる方なのにスイッチ入ると一変する姿は役者の鑑。

 

根本さん

初見: まほろばかなた

モリステ、文ステ、ワーステ、ガネオペ…結構有名どころ出てた。今回初めて存じ上げたんだけど、どこか谷口賢志さん味があるイケおじ。ランダムのブロマイドでめちゃくちゃかっこいい勝さん引いたことはこれから自慢してく予定。

 

富田麻帆さん

初見: シデレウス

お名前聞いたことあると思ったら、カシオペア回のマリアだ!!!この公演は配信で見ていたので…演技からもわかるように、とてもしっかりしている女優さんですよね。シデレウスのLINE LIVE見たときはあまりにも場を回していてびっくりした(すごい)。麻帆さん以外のお雅は考えられないって思うほど彼女もハマり役だった。

 

p.s.

毎公演毎公演まほろばくじ(グッズ)が完売してて、「なんでだろう…4000円のための数合わせかな…」(4000円を超えると非売品グッズがついてくる)なんて浅はかな思考回路だった数日前の自分へ。劇観ればくじの意味がわかるよ。いつだって大事なときはくじが運命を左右したのさ…それでも君は安さで売れ行きがいいと言うのかい?