ここなっつぴぃす

紡いだ夢の先へ

「The Lion King」観劇記録

 

「The Lion King」

観劇日 8月16日(水)19:30

@Lyceum Theatre, London

(予定上演時間2時間半)

1幕 19:34 〜20:40 

休憩 約25分

2幕 21:04〜22:03 

カテコ 22:03〜22:09

 

 

~本編~

演出

何をするにせよスケールが壮大。最初から客降りで動物が登場することで観客一同大盛り上がり。2幕冒頭では2階バルコニーにも客降りがあったので、取り残された感を感じさせない演出が素敵だと思った。また、動物を体現しているので、そう見えるように大道具に趣向を凝らしている。

 

例えばムファサ(シンバパパ)がヌーの大群にひかれて殺されるシーン。ムファサが上手の壁をよじ登るも「お前の王の時代は終わりだ」と言われると、ワイヤーで吊るされていたようで彼は舞台中央に飛ばされる。その後ムファサが落ちた部分以外の周囲の大道具は奈落に戻る(最終的にはパパの部分も奈落から床下に入る)。

 

階段の演出。階段が上がっている感をなるべく出さないように回しながら出していく。動きを伴っていることで「上がっている」ではなく「回っている」という感覚のほうが強くなる(錯覚を起こさせる)。

 

また、ほぼシーン毎に中央の奈落から階段が出したりしまわれたりしていた。

 

 

照明

・時折照明を客席まで回すことで没入感を感じさせる

・天井から光が当たりサイド(上の方)からスモークが出てくると、そろそろ開演の合図

 

音響

・サークルの天井から音(鳥の鳴き声とか)を流すことで「近くにいる!」という親近感を演出

 

衣裳

草(アンサンブルの方々)の見せ方:アンサンブルの方が頭をかがめれば、草が観客に見えやすくなるという仕組み。スカートの裾だけが薄黄色で他の部分は透明。しゃがんだ時に床と裾が一体化して(くっついて)草の根元感が生まれるのが面白かった。

 

アドリブ

・アナ雪の曲を歌うなど豊富に取り入れていた(ロンドンで観劇したミュージカルの中で一番アドリブがあったように感じる)

 

劇場

・ロンドンの劇場の中でも屈指で規模感が大きい。ハコは横に長く、天井は比較的高め。

・最上手で観たものの、遮るものがなかったので観やすかった

・舞台と客席をつなぐ階段があるので距離感が近くて良い(日本でいう文化会館)。舞台上の世界とコネクションを感じることができる。

 

その他

・子ども向けの作品なので、Frozen同様ソワレにもかかわらず子どもの声が頻繁に聞こえてくる

・楽しい場面でも悲しい場面でもナンバーが終わる度に「ヒュー」と叫んで拍手する文化を強く実感した

・キャストさんが煽らなくても、アドリブのシーンで観客は手拍子をし始めた。アットホームな雰囲気を観客自らが生み出している。


 

~感想~

当日に劇場のチケットカウンターでチケットを購入したところ、45ポンドで観劇することができた。ライオンキングは日によって空席状況がかなり異なり、下手したら2万5000円することとかもあるので、当日券はだいぶ賭けではある。今回は運に恵まれて、最安値(cheapest)だったにもかかわらずロイヤルサークル(2階)で観ることができた。

 

いざ、観劇。幼少期と結びついているライオンキングの記憶が蘇ってきて、開演1、2分で涙がぽろぽろ出てきた。単番で観劇したということもあり、ロンドンのミュージカルで泣いたのはおそらく初。溢れさすまいと涙を我慢したら右目のコンタクトが外れるというアクシデントはさておき、改めて音楽は自身の記憶と結びついてるなと実感した。それが幼少期ならなおさら深く刻まれている。


動物を人間が体現するということで、こういう手の作品だと毎度オタク間で討論が繰り広げられる衣装問題。「人間が動物を演じるのが苦手」と拒否している友人もいたが、主本人は2.5次元で慣れているので特に違和感は感じなかった。衣装のつくりというか、俳優を動物に見せるためにと凝らされた構造が結構複雑なので(俳優の頭とは別に動物の頭があるので頭が2つあるように見えるetc)戸惑いは若干感じる。

 

そういう時は、俳優の身体ではなく彼らの頭上あたりに注目すると良い。脚まで見ると構造が複雑すぎてこんがらがりそうだが、一定の部分に注目していれば視野が広くなって他の登場人物との兼ね合いも見ることができる。また、先述した草など頭上にその登場人物のわかりやすい特徴があったりするので、より違和感を感じることなく観劇できると思う。衣装や演出で人間ではない生物を表現する媒体として、ある種2.5次元と近いかも。

 

そして何よりこれらを生身の人間がやっていることに最大の意味がある。チャリンコにたくさん動物をつけてそれを乳母車の如く押すキャストさん。この場合動物がわかりやすく動物の形を成しているので、ぶっちゃけそれは人が押さなくても良いのかもしれない。しかし、それでは舞台化の意味がないのだ。同じ人間がやるからすごいんだ。自分と同じ身体、機能を持つ俳優さんが目の前で体をも超越した何かを為している。それこそが私達がインスピレーションを受ける部分であり、明日を生きる活力になるのではないか。

 

とはいいつつ、最初のシーンでゼブラが踊っている姿は滑稽で笑ってしまったけど(笑)みんな可愛かった。

 

観客へのアプローチも面白くて、ディズニー作品なので観客には子連れが多い(というか半分以上)。子ども達が飽きないように、1幕冒頭では1階席後方から動物が登場したり、2幕が始まる際にはアンサンブルの方が2階席まで客降りしてくれて、先端に鳥がついた棒を回して近くでライオンキングの世界観を実感することができた(ちなみに主の近くにはスキンヘッドのムキムキな男性が来た)。子どもを惹きつける工作がさすが。

 

最後に、「世の中にはいろんな人がいる」とダイバーシティの話をカテコの後に持ってくることによって、非常にメッセージ性を感じた作品となった。本編で暗示されていた多種多様の存在・価値観をカテコ後一息ついている観客に対して直接言語化することで、その言葉が心に深く刻まれる。

 

 

p.s.

シンバの子明らかに若いけど、労働基準法的にソワレ(しかも1930始まり)への出演は大丈夫なのかな。翌日の学校が心配。