ここなっつぴぃす

紡いだ夢の先へ

舞台「アルタイルの詩(笑)」観劇記録

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劇団たいしゅう小説家present`s 舞台「アルタイルの詩(笑)」

@萬劇場

観劇日 2023年5月3日(水)19:00 初日

(予定上演時間 85分)

開場 18:30

公演・カテコ 19:00〜20:21

 

 

 

~本編~

あらすじ

余命1ヶ月あるか否かのヒロイン・さきとその彼氏・わたる。説明台詞とともに第一印象や過去の記憶を共有しあったり、わたるを取り囲む四角関係や、さきの両親とわたる、さきの主治医と看護師の不倫など色々な関係性が描かれている。最後はわたるの腕の中でさきが息を引き取った……

 

かと思いきや突然「カットー!」と声がかかる。上記の出来事は全て劇だったのだ。それらは映像として放映される予定が、監督(主治医役)のミスによりカメラが回っておらず撮り直し。キャストは憤怒し、「72歳で日中戦争で経験をしてるのはおかしい」だの「16光年のアルタイルが生まれた年に私が生きているわけがない」だの散々監督への愚痴を吐きながら“自由に”やり直すことに。

 

ここからはもはや喜劇。おじいちゃんが乗っていたはずの車いすに孫が乗ってそれをおじいちゃんが押して、わたるがさきの手をとって病室へエスコートするはずがその相手はタイミングを間違えておじいちゃんになってしまったり、わたるとさきの間に不良少年が居座ってしまってベンチが窮屈そうだったりとはちゃめちゃな展開。しかし、当のキャストたちは各々が好きに演技を形にできたそうで満足げ。

 

収録が終わった後、役ではなく一人の人間としてさきと向き合うわたる。さきの言葉のどこまでが演技なのか嘘なのか真実なのかわからず「やっぱり演技向いてるよ…」とさきにぼやいて幕は閉じる。

 

 

演出

・幕はなし。開演前からセットが見える状態。

・暗転→わたる/さきのピンスポで物語がスタート

・中盤で収録だとわかった後にバックの黒幕がはずれて色々な木材が出てくる仕様が斬新

 

 

劇場

・座席数は126席とかなり小さめ

・ロビーはかなり小規模

・B2階の劇場へ向かう途中の階段でお花が並べてある

 

 

~レポート~

感想

ご縁があって急遽飛び入り観劇。鹿殺しとか虚構の劇団とかプロペラ犬は観たことあるけど、100席ちょっとの小規模劇場で鑑賞するのは初めてなのでとても新鮮な体験だった。

 

小規模であるが故に声は聞き取りやすく(多分マイク入ってないんじゃないかなぁ)、舞台美術も裸眼でまじまじと眺めることができて面白い。設定が病院だと理解するのは少々時間がかかったが、周りのベンチや質素な建物、車いすなどからなんとなく察することはできた。

 

物語としては、最初はラブストーリーで終わるかと思ったら、コメディで「なるほど…題名についている“(笑)”はコメディーの要素を表しているのかと納得。途中で180度展開が変わって面白かった。1,2人ゲラな観客がいて終始笑いが途絶えなかったところに、劇団の温かさを感じることもできた。「短い時間を遠回りして一緒に過ごしませんか」とか「夢は永遠に掴めないもの。今君が見ているのは夢ではなく目的だ」とかたまに織り交ぜてくる名言が染みる。