ここなっつぴぃす

紡いだ夢の先へ

プロペラ犬「僕だけが正常な世界」観劇記録

 

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プロペラ犬 第8回公演「僕だけが正常な世界」

東京芸術劇場シアターウエス

観劇日 2022年12月23日(金)

受付開始 12:00

客席開場 12:15

開演 13:00

終演 14:58

 

 

登場人物

 

ミチル(崎山) 障がいを持つ青年。少年時代から周囲に「難しい子」と言われ続け、刑務所に入るために無差別殺人を起こす。


ミチルの母 炊き出しなど、無償でホームレスのボランティアをする。ミチルの扱い方に悩み続ける。


ミチルの父 本心ではないと思うが、ミチルに「出て行け」「嫌なら食べなくていい」などきつい言葉をかけてしまう不器用な人


ミチルの姉 父や母に便乗してミチルを“難しい子”扱いしているが、誰よりも彼のことをよく見ている。父やおじさんが怖くてミチルのために言い返すことができなかった。


ミチルのおじさん 自分の店が倒産して借金を抱えたために実家(ミチル家)に帰省。離れで暮らす。


ミチルのおばあちゃん ミチルの良き理解者(だと主は思う)。後に認知症になり、亡くなる。


ミチルのおじいちゃん ミチルが3歳の時に亡くなる。ミチルのために小屋を建てた。


げんき(定本) ミチルの友達。体が弱くて、後に亡くなる。


あかり げんきの妹。飼っていた、雷にびっくりした小鳥を捕まえようとしていたところ、事故に遭い亡くなる。


げんきの母 げんきの体を心配する。


げんきの父(安里) お母さんと仲良し。


夜の精(安里) 「死にたい」というミチルを旅に連れ出す。冒頭では、鳥越さんに「青い鳥知りませんか?」って声かける。本人曰く、光の精とは会えないらしい。


お餅の精 目には見えない。精「お餅食べる?」ミチル「食べない」精「ドンマイ!」ってくだりをよくやってる。頭やお腹からお餅が出てくる。


火の精(宮下) 目には見えない。火の精に触れると熱くなる。


小鳥の精 目には見えない。あかりが飼っていた黄色い小鳥。


宮田(宮下) シアターウエストでは火の精を演じてるが、本来はイーストでアンサンブル出演する予定だった。


ジャージの精(鳥越) シアターイーストで宮田の代役としてアンサンブル出演するはずだったが、シアターウエストに迷い込んだ先でいなくなった宮田と出会い、いつの間にか自身を「ジャージの精」と勝手に名乗りウエストの公演に参加する。

 

あらすじ


物語はシアターウエストに迷い込んだ鳥越(ジャージの精を演じる以前の、彼の役者名がわからないので、ここは本名通り「鳥越」としておく)の視点で描かれる。


「おはようございますー」とリハーサルにやってきた鳥越が挨拶をする。しかし、そこで行われていたのは見たことのない作品だった。


はしゃぎながら登場してくるミチルとげんき。キャッキャッしすぎたのか激しく咳き込むげんきに、ミチルは背中をさすってあげる。「大丈夫」と言っているげんきだが、彼は体が弱かった。

 


げんき母「本人は言わないけど、多分いじめられてる」

ミチル母「え!蹴られたりとか!?」

げんき母「そんな大きなことではないと思うんだけど…」

ミチル母「『げんきって名前なのに元気じゃねーじゃーん!』とか?」

げんき母「それもあるかもね」

 


その後も夜の精が「青い鳥を探してくれないか?」と声をかけてきたり、炊き出し(の演技)が始まるなど、明らかにおかしい状況。


鳥越「これリハーサルですよね!?」

と周囲に声をかけるも見向きもしてもらえない。そんな彼の前に宮田らしき人物が現れた。


鳥越「お前宮田だよな!?」

宮田「(びっくりした顔で)お前は黙ってろ!」


宮下「ここウエスト!!お前が出るのはイースト!!」

鳥越「あぁそっか…ってじゃぁなんでお前がここに居るんだよ!?お前の代役で俺出ることなってんだけど!!」

鳥越「どっからその衣装取ってきたんだよ!?」

宮田「そこらへんにかけてあったんだよ!」

鳥越「じゃあ俺も取ってくるわ!」

宮田「お前はダメ!!お前はイーストだろ!」

鳥越「でもお前だって出てるじゃねぇか!てかな!アンサンブルだぞ!75人いるなんてアンサンブル中のアンサンブルじゃねぇかモブじゃねぇかよ!」

宮田「モブなんて役はないんだよ!!!誰か一人でも欠けたら舞台は成立しねぇんだ」


すると、鳥越は8歳の息子が障がいを抱えている可能性があると診断されたこと、家族のためにこの作品を最後に役者人生にケリをつけようとしていることを話した。


宮田→鳥越へ

「お前俺より目立つなよ!」「セリフ被せるなよ!」「セリフ被せてきたな!?」


時は進んで、ミチルは調停にいた。無差別殺人で人を殺したとして無期懲役が言い渡されました。


これでめでたしめでたし、みたいな終わり方でカーテンコールやろうとしてたので、さすがに鳥越が止める。

鳥越「いやいや…短すぎるやろ!?そんな焦らんくとも良くない!?」

役者「なんかね、この物語は日に日に短くなってくんですよ」

鳥越「アドリブが多いってことちゃうか?」

役者「いや、なんかこう……なにか大きい力によって捻じ曲げられている」

 

無差別殺人で人を殺したとして無期懲役が言い渡された…ところだったのだが、ずっと被害者(役:鳥越)がツッコんだり言い返したりしてて終始うるさい。「被害者は黙ってるのが普通」「どうして被害者は黙ってなくちゃいけないんだ?」「前例がないからだ!口を出してるってことは生きてる……ってあ、お前死んでねぇじゃん!」と被害者が生きている(むしろピンピン)ことが判明し、ミチルは無罪に。安全安心な生活が保証されている刑務所生活を望んでいたがために無差別殺人を起こした彼はこの判決に絶望する。


そこに現れたのは夜の精。生きる目的を見つけさせるために、「旅をしよう」と強引にミチルを連れ出すのであった。


最初に着いたのは“思い出の世界”。そこには亡くなったおばあちゃんがいて、スタンドマイクを持って歌おうとしていたところだった(目の前に立つミチルが邪魔で歌えなかったのだが。おばあちゃん「いいかいミチル、歌ってる人の前には絶対に立たない!これだけは覚えておきなさい」)。おばあちゃんは何の気なくミチルに「今は社会人かい?」と尋ねた。「なれなかった………」と答えるミチル。上司や同期から「話が通じない」「見た目は俺たちと同じなのに中身は別人」など散々言われて辞めたそうだった。


おばあちゃん「そうかい…。お前も辛かったんだな…気付いてあげられなくてごめんね」


すると、「大きくなったなぁ」とおじいちゃんも現れる。ミチルのために作った小屋はおじさんが使っていると聞いて、「あの野郎!もう二度と寺の敷居をまたぐなと言ったのに…!」と怒るおじいちゃん。

 

ミチルは人の気持ちを読めなかった。みんなが当たり前にできることが自分にはできないと葛藤する。あかりを失ったげんきに対して、「なんで女装してるのー?」と聞いたところ、「わからねぇよ…あかりと似た姿をすることで悲しんでる母さんに罪償いしたかったのかもな」と苛立たれたり、反対に急に蛍の話を始めたり。


げんき「でもわかってる。お前に悪気はないんだよな」


「ミチルは言葉のあやを理解できないんだねぇ」と同情するおばあちゃん。ミチルが見る世界では言葉は刃で、ストリートに受け止めてしまうからその言葉は強くこだましてミチルを苦しめる。


おばあちゃん「お前には世界がそんな風に見えるのか…」

 


次に訪れたのは“死者の世界”。そこにはげんきやあかりがいた。


ミチル「ここにいる……ってことは死んだのか…?」

げんき「頑張ったんだけどね…」

精「うん頑張ってたよ」

ミチル「お母さんは大丈夫なのか…?」

げんき「俺の希望をいっぱい託しておいたから」


ここでミチルとげんきが出会った幼少期に回想する。その時はお父さんに言われるがままミチルは餓死しようとして小屋にいた。そこにげんきとあかりが現れる。最初は心を閉ざしていたミチルだったが、あかりにラムネをもらったり、蛍の話でげんきと意気投合して同じ時を過ごすようになる。しかし、蛍の餌である貝を取るために池に入ったところげんきが溺れた。げんき本人は「溺れかけたことはお母さんには内緒ね」と言っていたがいつの間にかミチルの父親にばれて、「二度とあの子(げんき)には近づくな」と言われてしまう。

 

ミチルは居場所を探していた。学校でいじめられていたことはもちろん、家族でさえ彼の責任を押し付け合っていて、そのことを知っていたからこそミチルは苦しんでいた。亡くなったおじいちゃんが作ってくれた小屋は自分の店を潰して借金を作ったおじさんが使っていて、ミチル家族に「その離れをミチルに使わせてほしい」「あいつはめんどくさいやつなんだ」と言われても、「今は俺が住んでるんだから俺の家だろう」「それは金払ってるやつの言い分なんだよ」「お前だって金払ってねぇじゃねぇか」「俺は働いてるんだよ!」みたいに、ミチルの心の支えである小屋も奪われて。

 

刑務所を出た後、ミチルのことをようやく理解し始めた家族たち。

姉「ミチルが毎年蛍を育ててるの知ってる!?」

母「いや……」

姉「じゃあどうして毎年羽化させてるんだと思う!?」

母「さぁ……」

姉「ミチルはマザコンだよ!!」毎年蛍を羽化させようとしてたのも、ホームレスみたいに餓死する直前まで川辺ぶらぶらしてるのもお母さんに気付いてほしかったからじゃん!」

母「てっきり嫌われているのかと思ってた…」


ミチルの周りは敵に溢れているわけではない。最後の方には母や姉、げんきが素直な気持ち・感謝を伝えてくれた。かつて「俺だって誰かの役に立ちたい!」って言っていたミチルだったが、例えば彼が捕まえた青い鳥は、あかりを亡くしたげんきに希望を与えてくれた。

げんき「ミチルがくれた青い鳥に、俺は救われたんだ。だから、ありがとう」

 

ジャージの精はミチルをこう奮い立たせる。

「またやり直せばいい」

「諦めないことがお前の武器だろ」

 

 

 

劇場の雰囲気

・観客の3割くらいは男性の方だった。中にはおばあちゃんも。根強い芸劇のファンいそう。

・ロビーは立ち入り禁止の場所多め(そう考えると2週間前の虚構の時はだいぶオープンな雰囲気だったのかな)

・ロビーでは無料Wi-Fiが使えるが、劇場内はWi-Fiが繋がらない。

・F列から段差。そのためEX列は物理的距離は近いが、前方の観客によってやや見えにくい。芸劇のキャパなら最後列でもオペラグラスなしでいけるので、こっちの方がおすすめかも。

・箱が小さいので特に低音が響きやすい。役者が舞台上でドンドンすると客席にまで振動伝わってくる。つばさくんがガンダしてたときの振動すごかった。

 

 

舞台セット

・框(かまち)あたりにカメラあり

・階段をはじめとする大道具は下手中心に作られているため、正面から作品を観たいなら下手がおすすめ

・下手から上手に人力で移動させた階段で役者の方がジャンプしてた際、少し揺れてて心配だったり

・2週間前に虚構を観劇したからか、キャパ小さめの芸劇でセットが大きく豪華に見える

 

 

演出

・鳥越が「おはようございますー」と言ってストレッチを始めた後、本ベルが鳴る。この時点で時空が曖昧になり、世界観に入り込めたので面白かった。この演出を知らなかったので、主一人で鳥越の挨拶で拍手するところだった危ない

・一番最後の、パッと消えてパッと付く照明の演出。背景のモノトーン感も相まってマンガみたいだった。再び照明が付いたときに鳥越が消える演出によって、それまで観てきた世界が虚構だったのかと感じさせられた。

・劇中歌多め

・音響(BGM)がめちゃくちゃ大きいのに対して、マイクの音が小さめ。あえて役者の台詞を聞こえにくくすることで、世界線をさらに混乱させようとしているのかな…?

・母親からユンケルをもらったげんき。ママが上にいてげんきが下にいたから投げでもしない限り手渡せないはずなんだけど、いつの間にかげんきがユンケル手にしてた。服の袖に隠し持ってた?何回かこんな感じの演出があったのでカラクリが気になる。その後すぐのテニミュチックな演出の話は「考察」の方で後述。

 

 

観劇動機

・美紀さんの作品

・楓ちゃん、あさてぃー、宮下さんの出演

・劇団公演

 

8月に情報解禁が出たときに真っ先に行こうと決断してから早4か月。去年上演してたヒキゲキが本当に面白そうで、でも雅成氏におちたのが千秋楽直前だったため結局観に行けずじまい。そこから悔いが残ったまま一年、形は違えど今回ようやく成仏することができた。あとは、色んな劇団の雰囲気を知ってみたかったのと、好きな俳優さんが数名出演されていたっていうのも動機のひとつ。

 

 

考察

小耳にはさんでいた通り、美紀さんの作品は解釈が難しい。今回は劇中劇が含まれているということもあって、世界線がぐちゃぐちゃになる。未だどこまでが劇中劇だったか曖昧。でも、大方のあらすじや大事なシーン・台詞は拾うことができた。


プロペラ犬、演出も物語も面白い。ヘビーな題材を扱った戯曲だったけど、その中でアドリブやネタの要素を取り入れて笑ながら見れる作品だった。爆発的な笑いが起きるというよりは、小ネタをちょこちょこ挟んでくる感じ。ミチルのパパがずっと美味しい美味しいと言って食べてたのがドッグフードだと知ったときはツボった。しかし、ミチルの苦労を前にして泣ける場面もあったりと作品としても成り立っており、ネタとのバランスがしっかり取れているのがすごい。それと、セリフがたまにどストレート。だんだん話の概要がわかってきたところで急にネタバラシ(「マザコンだよ!」など)したり、緩急の激しさを感じた。

 

 

「僕だけが正常な世界」というタイトル

ここで言う「正常」の視点は鳥越が中心なように感じた。物語の最初と最後は鳥越の日常の世界線が描かれているわけだし、異常な世界に入るのももとを正せば鳥越がウエストに来たからだし。それに加え、ウエストに馴染んでいる宮田も実は正常な側の人間。ただ、彼の場合は異常な世界に入り込もうとしている点で鳥越と事情が異なる。

もうひとつ、「正常」として捕らえることができるのは普通の人が見る世界。対する世界は、ミチルが見るもの。言葉の意味を直接受け取ってしまう彼の世界は言葉が刃となってずっとこだまする。ミチルの視点から見る回想シーンは辛かったな…きっとこういう思いを抱えている方がこの世にはいっぱいいるんだろうな…胸が苦しいよ……

 

精の存在
ラストの方で、夜の精の前に白い衣装を纏ったが現れるシーン。何の説明もなかったので正解がわからないけど、主はこれを光の精と解釈することにした。夜の精は冒頭に「私は光の精には出会えない」って言ってたけど、ミチルの身に何か特別なことが起こったから会えたのではないかと思ってる。どうかミチルの新しい人生が笑顔で溢れてますように。

 

精と言えば、おもちの精、火の精、小鳥の精はミチルかげんき、あかりの中にいる彼らの背中を押す霊的存在なのかな。1回しか観劇してないので不確かだけど、誰かにしか見えてない説はある(半年前に見たリトファンに出てくるマクスウェルがそうだったのでどうも疑ってしまう)。ミチルの場合だったら、人より物事を深く覚えているからこそ過去の思い出が精となって生きている可能性も高い。

 

ミチルの承認欲求を満たしてくれるもの

居場所を探したり母親を必要としていたり。ミチルは言葉の捉え方が普通の人とは違うけど、彼だって承認欲求を持っていて誰かに必要としてほしくて誰かに必要とされたかった。ただ、その表現が上手くできないから奇行に走っただけなんじゃないかな。そんな彼にとって目に見える形で居場所を表してくれるのがおじいちゃんが作ってくれた小屋。この小屋は生まれてくるミチルのために作られた、正真正銘ミチルが居る権利のある場所。しかし、そこをおじさんに奪われてしまうことによって自分の存在を否定されたように感じてしまったのではないか、と推測した。

 

仮にミチルが自分の存在意義を自分で見つけてあげられないのなら、主がこう唱えたい。君だってたくさんの武器を持っている。例えば、ミチルが冒頭に言っていた「日本人は仏教徒なのに、なんで仏様よりイエス・キリストの方を盛大にお祝いするのだろう」という疑問。確かになぁって素直に感心した。思うに、ミチルみたいな子にはこういう些細な事象にも目を向け、物事を根本から考えることができるという才能がある。周りが肯定してあげることも大切だから、どうか親近者が声に出して直接彼に教えてあげて。

 

そしてミチルが見ている世界を知ることで、私自身大きな教訓を得ることができた。

 

自分の言葉に責任を持つ。

 

言葉の捉え方は人それぞれ異なる。言葉ひとつで人を幸せにすることもできるし傷つけることだってできる。誰だって幸せになれるし幸せにさせることもできる。言葉を意思疎通に使うのも贈り物にするのも刃にするのも自分次第。でも、せっかくなら誰かを笑顔にできる方が自分だってハッピーじゃない?ミチルとかの場合なら、心無い言葉が響く分、感謝も人より響くわけだから、私も常日頃から感謝の気持ちは素直に伝えようと思った。新しい世界を教えてくれたミチルには本当に感謝したい。言葉にしないとわからないこともあるから、積極的に自分の思いは伝えればいいし、相手が何を考えているかわからなかったら聞けばいい。相手のことを100理解しようとしなくても、歩み寄ることはできるわけだから、わかろうとする努力が大事なのだ。きっと。

 

ちなみに、ミチルって普段はロボットみたいなかしこまった喋り方なんだけど、げんきとはしゃいでる時だけは物腰が柔らかくなる。彼は身内にも心を閉ざしていたのかな…。

 

台詞に込められたメッセージ

色んな言葉が散りばめられていた。観客の観方次第で捉える物語も大切だと思う言葉も異なるのが演劇の面白いところだと主は思っているのだが、今回特にピックアップしたいのは、「俺の希望をいっぱい託しておいたから」「闇があるから光がある」「諦めないことがお前の武器だろ」かな。

 

「俺の希望をいっぱい託しておいたから」 

死者の世界で生きるげんきの言葉。「たくさん」「残す」とか他の言い方色々あったと思うけど、このワードチョイスが優しいというかげんきらしいというか。満面の笑みで力強くこう言っていた彼の言葉には、長いこと病気に苦しみもがききったことがどこか暗示されており、切なさ、儚さをも感じる。生きたくても生きられなかった彼の希望、夢がいっぱい詰まってたんだろうな。夢が遠いなら目標から、目標が遠いなら目的から。ちょっとずつ彼が現世に託した希望を叶えてあげてほしい。

 

「闇があるから光がある」

数か月前、漆黒天でも聞いたことのある言葉。言われてみればそりゃそうでしょ当たり前じゃんって感じだけど、最近になってその本質的な意味をようやく理解することができた。こういうことってどんなに人から言われても自分が実際に経験してみないとわからない。私自身この数か月で本当に(本当に)色々な出来事があって、世渡りとか物事・自分への向き合い方を学んで、久しぶりにこの言葉を聞いてすとんと腑に落ちた。誰かが認めてもらえる世界では認められない誰かがいる。肯定されている意見があれば否定される意見もある。自分が光の方にいるのであれば、自分のせいで犠牲になった誰かの存在を忘れてはならない。そう思った。

 

「諦めないことがお前の武器だろ」

諦めないことって才能なのか。

良く言えば芯があって粘り強い、悪く言えば頑固。物事は捉え方次第で本当に変わる。当たり前に続けていることが実はすごかったり、最後までやり通す力が長所だったりって自分ではなかなか気付かないもの。自分の強みを見つけてもらうのには他者の力も必要なのかもね。

 

 

 

それはそうと、めちゃくちゃつっこみたいのが、幼きミチルとげんきが蛍を捕まえようと奮闘するシーン。

 

私、テニミュ観てた???

 

テニミュ通ってない私でもわかる、かの有名なラケット(網)さばきと、その姿を歌やリズムに乗せてミュージカル風に見せる演出。終演後、横からは「私ファーストとセカンドしか見てないけどあれは絶対テニミュ」「テニスのラケットじゃなくてはねつきのラケットみたいなのだったけどボール見えたよね」って会話が。ちなみに、同じ公演を観劇してた陳さんも同じこと言ってた。

 

 

 

出演者の印象

 

崎山つばさくん

初見 死神遣いの事件帖 or 舞台ID 

ミチルの堅い喋り方や態度を上手く表現していた。話している姿を見て「あ、これ普通の人とは少し違うな」って感じたし(普通じゃないのが悪いとかではない)、常に堅いんだけどシーンに応じて喜怒哀楽を読み取ることも出来たので、やはりつばさくんすごい。基本無表情なのに、無期懲役を望むときとかだけ偏屈な笑みを浮かべていたのが不気味だった。時期的にちょうどデブラブを見ていた頃だったので「前園課長だーー!」ってなったよね。

 

鳥越裕貴くん

初見 アクターズリーグ2021 or あそびば

圧倒的な演技力。バラエティーやってる鳥ちゃんの方が詳しいのでなんだか新鮮だった。鳥ちゃんのストプレ、めちゃくちゃ心にくるものがある。声は大きくて良く通るし、歌声は若干ダミが入ってるかな?って思ったけど全然問題ない。声を震わすのがめちゃくちゃ上手。最近小劇場とか劇団の公演ばかりやってるぽいけど、その理由がわかる気がする。美紀さんの言うように、彼は2.5もストレートもバラエティーも何でもこなせるカメレオン俳優。

 

定本楓馬くん

初見 舞台27

普段はおっとりしているイメージがあるけど、実は結構野太い声も出せることを知った。冒頭ミチルとわーわー騒いでるシーン、隣に居るのがまさか楓ちゃんだとは思わなかったもん(「あさてぃー?違うかぁ。じゃあ宮下さん?いや違うか……え楓ちゃん…?…!」)。見た目のわりに案外身長があるのと声が低め。途中安里パパにおんぶしてもらって、足ばたつかせたりあさてぃーの肩で咳き込んだりしてるげんき可愛かった。

 

安里勇哉さん

初見 まーしーのアメブロ

声良いな。心地いい低さ。安眠ボイスとして使いたい。今回は低音が綺麗な役者陣多め。まーしー(最推し)がずっと勇哉さん勇哉さん言ってるから自然と認知し始めたあさてぃー。とりあえず自由奔放で陽キャでボケてるイメージがある(自担くんがつっこんでくれるからかな)。夜な夜な宮下さんとのTikTok見てすんごい元気もらってます毎日。多分めちゃくちゃ再生回数向上に貢献してる。とりあえず声がマジで良かったので、朗読劇とか行ってとことん低音を堪能してみたい。

 

宮下貴浩さん

初見 2021年末のりんたこゲスト回

去年りんたこでゲスト出演されてた時に初めて認識した可能性が高い。「宮下宮下呼んでたら、『10個上の先輩にさん付けてないのお前がいたく見えるぞ』」ってまーしーがお父様に言われた話がずっと頭に残ってる。滲み出るほがらかさと面白さで、見てるだけで笑顔になれる。ずっと生宮下さん拝みたいなーって思ってたので嬉しかったです(去年カミシモで拝見してはいるんだけど当時は認識してなかったので)。宮下さんいたらアドリブ安心するし笑えるシーンも増えるので作品の厚みがより増す。

水野美紀さん

初見 映画『シュート』

筋金入りのジャニオタなのでほとんどのJグループを通って来た主が最初の方にハマったのがSMAP。そんな彼らが全員で初主演を務めた映画が『シュート』で、小学生の時は月1で見て泣いてた。なのでヒロインの若かりし美紀さんもしっかり覚えており、数年前、長野くんとの番組がNHKでやってると知ったときは驚いた。そして舞台界隈にハマってからさらに驚いたのが、夫が唐橋さんということ。すごいご縁だなぁほんとに…。いくつになっても美紀さんは面白かった。